――別れの言葉が教えてくれる、ホントの気持ち
日本アカデミー賞最優秀監督賞受賞『八日目の蟬』の成島出監督の最新作『グッドバイ~嘘からはじまる人生喜劇~』が2月14日(金)に公開!
人気の衰えない昭和の文豪・太宰治の未完の遺作を、鬼才・ケラリーノ・サンドロヴィッチが独自の視点で完成。話題を呼んだ舞台「グッドバイ」が、新たな魅力に満ちた人生喜劇映画として生まれ変わった!
W主演を務めた大泉洋さん、小池栄子さんにインタビューを行いました。
(小池さん)以下:小)私が一番面白いなと思ったのは、水原ケイ子(橋本愛)の兄がシベリアから帰ってきたばかりで飢えているはずなのに、演じている皆川(猿時)さんが太っているという(笑)。普通ガリガリの人をキャスティングするじゃないですか。お痩せになって現場に来るのかと思ったら丸々太っていて。皆川さんが登場しただけで“あ、これは笑っていいんだ!”という展開に持っていくのは監督の映像マジックであり、キャスティングの勝利だと思いました。
(大泉さん)以下:大)「シベリアに比べたら(日本の刑務所なんて)ホテルみたいなもんだ!」とか言ってたんだけど、シベリアで何食ってたんだろうって感じだもんね(笑)。監督はもうちょっと痩せてほしかったんじゃないのかな。橋本愛ちゃんのとこに「グッドバイ」を言いに行くと、おっかない(皆川)猿時さんが来るわけだけれど、怒り具合や声の張りだとかが面白くて、あのシーンは気が付いたら涙流して笑ってた。あの中で本当に泣く橋本愛ちゃんがすごい。
小)そう!よくやったよね!笑っちゃってできないよ、普通。
大)挿絵画家の橋本愛ちゃんが描いてる絵が死ぬほど怖いとか。
小)建てた墓が物凄く大きいとか(笑)
大)そういうのがいちいち面白い。
大)前に三谷さんの舞台で共演をしていたので、遠慮なく、楽しくやらさせて頂きました。私を投げる時なんかも、躊躇なかったんじゃないですか(笑)。小池さんは相変わらず面白くて、僕が特に好きなシーンは、キヌ子が僕宛ての電報を見て慌てて口の中に隠すシーン。結構大きな紙なんですけど、その口への入れ方が上手で、可笑しくて可笑しくて(笑)。
小)私は、(大泉さんは)すごく信頼している役者さんですし、楽しいことや面白いことが好きな役者さんなので、パートナーとして心強かったです。大泉さんみたいに面白いことを品よくできる方ってなかなかいないと思うので、一緒にお芝居できるのが楽しかったですね。ただ、、、若干痛みに弱いのがね。なんだろう、もう痛くねーだろ、立ち上がれよ!みたいなことがしばしば(笑)。
大)君に僕の痛みの何が分かるってんだ!(笑)
小)投げてる私も肩が痛いわけよ。なのに私の方にはスタッフさんが全然寄って来てくれなくて。そうゆう女優さんぽいところがあるんだよなー。
大)痛いですよ、痛いんですって!(笑)君に僕の痛みが分かる訳ない!(笑)
小)でも、本当に痛いのかなぁと思って、電柱上がるのを私もやってみたら、本当に痛かった(笑)。
大)痛いんだよ!それに電柱上った状態で、ずいぶんな時間芝居をしなきゃいけないんだから!!それなのに、養生に時間がかかりすぎだ!って怒るんですよ(笑)
――仲の良さが伝わってきますね
大)そうですか?僕は毎回怒ってるんだけど、彼女は「大泉さんは何を言っても怒らなくて。」って。
小)(大泉さんは)心が広い。
大)怒ってるんだって!僕がこうやって言っても怒ってると思ってないらしいんです(笑)
小)(大泉さんは)照れ屋だから。
小)舞台版の時は、キヌ子の強さが全面に出て田島を振り回している感じだったのですが、映画は大泉さんの田島のペースにキヌ子が振り回されている感じになっているので新鮮でした。
――「カラス声」を出すのは難しかったですか?
小)リハーサルでこの台詞は、カラス声2とか、カラス声5とか細かく調整したのですが、結構大変でした。タンスを持ち上げて投げるシーンでは、「うおー」って叫ぶんですけど、カラス声から徐々に白鳥の声に変っていくようにと監督に言われて(笑)。監督の中では無意識の内に恋心が芽生えて声変わりしていくイメージらしいのですが、さすがに苦労しました(笑)
(大泉さん)以下:大)僕がモテてる瞬間がないし、どうしても僕が演じちゃってるから、顔はどうしようもないわけですよね。舞台版では仲村トオルさんがやってるから、「そりゃーモテるわね」でいいんだけど(笑)。そこの役作りがしようが無いから、きっとお願いとかを絶対断らない人なんだろうなと思って、とにかく優しさを意識しました。
小)水原ケイ子(橋本愛)に会いに行く時の赤っぽい衣装ですね。あと最後のシーンの、ウエディングドレスからパンプキンに変わるのもお気に入りです。土手で脱ぎながら走って行ったら可愛いからと、衣装さんのアイデアです。ウエディングドレスも一から寸法を測ったので体型のキープも意識しました。
小)最後のシーンで田島がキヌ子と手を重ねて言う「グッドバイ」ですね。リハーサルの時からドキドキしてました。あの時の大泉さんの表情はたまらなく愛おしかったですね。
大)でも笑ってたじゃん!
小)位置関係がね(笑)。だって大泉さんが物凄い態勢でスタンバってるんですよ(笑)。手の位置も実際とは逆なんだけど、カメラのアングルを考慮しなければいけなくて。役者って大変な仕事だなと思いました。
大)僕はやっぱり、1回目の1番美しい「グッドバイ」。緒川たまきさん演じる青木さんに、ぐわっと札束を渡して言うグッドバイは好きですね。あれぐらいだから、うまく言えたの。あのグッドバイはカッコよかった。
小)この間の完成披露の時に、「大泉さんとの収録が疲れるからグッドバイしたい」って言ったのですが、こうやってもう残すところわずかになると、名残惜しいな、寂しいなという気持ちになりますね。たまに会うのが丁度いいのかな、体力奪われるので(笑)。あとは、自分の口の悪さにグッドバイしないと、と思います。もう40手前なので。
大)僕は、面白いことが何よりも勝ってしまうこと。面白い為だったら、なんでもやってしまう自分がいて、そんな自分とはグッドバイできるんだったらしたいですね。色んなエピソードを話している時も、エンジンがかかっちゃうと、たまに何で俺こんな嘘までついて自虐ネタで笑いとってるんだろうって思うときがあって。いや俺そんなことやってないんだけどなーって(笑)。嘘ついて、サイテーな人間になるときもある(笑)。そういう時にグッドバイしたくなるよね。
これだけ言ってるけど、僕ってわりと重たい作品が多くて、分かりやすいコメディとかあまり出ていなくて。今回喜劇をやらせてもらったので、沢山笑ってもらえたら嬉しいなと思います。
■STORY
戦後の混乱から復興へ向かう昭和のニッポン。闇稼業で小金を稼いでいた文芸誌編集長の田島周二は、優柔不断なくせに、なぜか女にはめっぽうモテる。気づけば何人もの愛人を抱え、ほとほと困っていた。そろそろまっとうに生きようと、愛人たちと別れる決心をしたものの、別れを切り出すのは至難の業。一計を案じた田島は、金にがめつく大食いの担ぎ屋・キヌ子に「嘘(にせ)の妻を演じてくれ」と頼み込む。そう、キヌ子は泥だらけの顔を洗えば誰もが振り返る女だったのだ!男は女と別れるため、女は金のため―。こうして、水と油のような二人による“嘘(にせ)夫婦”の企みが始まった。
2月14日(金)、ミッドランドスクエアシネマほか全国ロードショー
映画『グッドバイ~嘘からはじまる人生喜劇~』
【出演】
大泉洋 小池栄子
水川あさみ 橋本愛 緒川たまき 木村多江
皆川猿時 田中要次 池谷のぶえ 犬山イヌコ 水澤紳吾
戸田恵子 濱田岳
松重豊
【監督】
成島出(『八日目の蟬』『ソロモンの偽証』)
【公式Twitter】
【公式Facebook】
©2019『グッドバイ』フィルムパートナーズ
【小池栄子さん衣装】
DAKS/三共生興ファッションサービス(株)
TEL 03-5651-7891
インタビューからも伝わると思いますが、本当に面白いこと楽しいことが大好きなお二人が出演されているこの作品。細部までクスっと笑えるポイントが散りばめられているので、一度と言わず、二度、三度と劇場に足を運んで、思う存分楽しい時間を過ごしてください!
NAGOYA. ライター