映画『喜劇 愛妻物語』「大いに指差して笑ってもらえれば」濱田岳×水川あさみが“崖っぷち夫婦“に

反面教師にしてもいいですし、これからの人生でステキな夫婦になるための踏み台の一つにでもなれれば

ー濱田岳

 

豪太役を岳くんがやるということで、罵声を思う存分に浴びせても大丈夫だと、安心して撮影に臨むことができました

ー水川あさみ

 


 

「台本を読んでいて、よくこいつは朝から晩まで怒鳴られ続けていても平気でいられるなと思っていました。でも実際撮影現場で朝から晩まで水川(あさみ)さんに怒鳴られ、ハートの弱い俳優だったら部屋から出てこれない日々だったと思うんですけど(笑)、“昨日の「死ね」より、だいぶブラッシュアップされた良い「死ね」だね“とか“ああそうゆう「死ね」あるよね“とか、冷静に受け取れるようになってきて。意外と僕と豪太の図太さがシンクロしていたようです」(濱田)

 

そう語るのは、独特の憎めない個性で愛される人気俳優、濱田岳さん。本作『喜劇 愛妻物語』では、脚本家としての稼ぎほぼゼロで家に居場所もないのに、隙あらばセックスに持ち込もうと奮闘する超ダメ夫・豪太を演じます。そして、そんな夫に罵声を浴びせながら、家計や子育てを支える超鬼嫁・チカを演じるのが水川あさみさん。

 

「豪太役は誰だろうなと思っていたら岳くんがやるということで。だったら私がどんとぶつかって、罵声を思う存分に浴びせても、きっとへらへらしてくれるんだろうなと(笑)、安心して撮影に臨むことができました」(水川)

 

結婚して10年。夫・豪太の情けなさに呆れ果て、妻・チカは口を開けば罵倒の言葉が飛び出す毎日。そんなある日、プロデューサーに新たなシナリオを書くよう薦められ、なんとか説得して親子3人で取材を兼ねた四国旅行に繰り出すところから始まる、“夫婦の真実“を描いたロードコメディ。

 

この物語の原作は、『百円の恋』で日本アカデミー賞に輝いた名脚本家・足立紳の自伝的同名小説。超赤裸々な実録夫婦小説の映画化を足立監督自らメガホンを取った。

 

「一番最初の読み合わせをしたときに、“僕ら(足立監督夫妻)をなぞるというより、作品の中の豪太とチカであって欲しい“というお話がありました。ただ、台本にト書きで「にやにやする」「へらへらする」と書いてあって、なんでこの男はこんな状況でへらへらにやにやできるんだっていう疑問があったんです。そんな時、監督がモニター横でにやにやしてたりとか、演出について聞きに行った時にもへらへらしてて、何をやってんのお前、っていう瞬間があった(笑)。豪太のにやにやへらへらは、そんな監督の日常のしぐさをすごく参考にしました。」(濱田)

 

監督としては『14の夜』(‘16)に続く第2作目である今作。二人曰く“ポンコツ演出“が多々あったという監督の演出の中でも特に心に残っているのは、、?

 

「一つ私がハッとさせられたのは、ホテルのシーン。寝ていた豪太にすごい勢いで怒った後一人でお風呂に入るんですけど、私自身芝居で怒ってるからかなりテンションが高くて。お風呂に浸かりながら豪太に“ビールとって“と言うんですが、すごい怒り口調で言ったんですよ。そしたら急に監督がぱっと来て、「ビールとって」は怒らないでくださいって言ったんですね。何言ってんだろって思ってたんですが、でも夫婦の日常ってこうゆうことだなと思って。散々ケンカしたり言い合いしても、次の瞬間には一緒に食卓を囲むし、寝るところは一緒だし。お風呂に入ってちょっと状況が変わるだけで、「ビールとって」を普通に言えるなって思ったんです。芝居じゃなくてすごく日常に近いところの感覚を、急にヒントをもらえた感じがして、あの時は「監督やるじゃん」と思いました。その1回だけですけどね(笑)」(水川)

 

お話を伺っていると、監督共々和気あいあいとした撮影現場の様子が目に浮かんでくるよう。そうして出来上がった夫婦の姿は、みっともなくてかっこ悪いながらもどこか微笑ましく。最後には言わばリアルに忠実な家族の愛に感動の涙も誘う。新型コロナ感染症問題で渦巻く昨今に公開されることに対して浜田さんはこう語ってくれた。

 

「凄く言葉選びが難しいのですが、みんながお家の中で我慢する時期があって、日常では感じられないストレスがあったと思います。その直後なので、僕らが演じた夫婦の環境に似た思いをした方も多いんじゃないかなと。より僕らのことを笑ってくれる人が増えているんじゃないかなと、前向きに捉えるようにしています。」(濱田)

 

東京国際映画祭でも大反響!涙が出るほど嬉しかったとか。

 

「こんな映画が六本木ヒルズのスクリーン7でかかるなんて、と僕らも驚きました」(濱田)

 

「一番おっきいスクリーンだからね」(水川)

 

「東宝の大作が流れるスクリーンですから。この貧乏ったらしい僕らの映画が出るなんて思ってもみなかったので、一生の記念だと思って、僕らも暗くなってから客席で見させていただいてたんですね。そしたら、外国の映画館で見ているかのようなお客様の反応で、日本の映画館では体験できないお客さんが声を出して笑ってくれるっていう。事実としてとっても嬉しかったです。素直にこれを手応えと呼んでいい出来事なんじゃないかと。“喜劇“というのはどなたが見ても笑えるもの。熟年夫婦も、付き合っているカップルも、独身の男性でも、どなたでも笑える瞬間があると思います。2軒3軒となりの家庭を覗き見している感覚で観ていただいて、大いに指を差して笑ってもらえばと思います。そしてそれを反面教師にしてもいいですし、これからの人生でステキな夫婦になるための踏み台の一つにでもなれればと思います。」(濱田)

 

チャンスがあれば映画のシリーズ化、なんてお話もありました。新たなお二人の姿をぜひ見たいところ。

 

「そうですね、そんな夢のような話があるならぜひやりたいなと思います。監督自身、面白いエピソードをすごいたくさん持っていて、いくらでもネタがあるとおっしゃっていました。だからいろんなストーリーが作れると思うんですよね。」(水川)

 

「夫婦漫才は外せないよね」(濱田)

 

「そうだね(笑)それは絶対やってみたい。」(水川)

 

「僕としても、水川あさみ・濱田岳 不仲で続編不可能! ってなるぐらい続けていきたいと思っています。」(濱田)

 

リモートでインタビューをさせていただきました。作品同様、笑いで溢れた取材時間となりました。

 

濱田岳 プロフィール

1988年生まれ、東京都出身。近年の主な出演作は『引っ越し大名!』(19/犬童一心監督)、『決算!忠臣蔵』(19/中村義洋監督)、『グッドバイ 嘘からはじまる人生喜劇』(20/成島出監督)など。公開待機作に『おらおらでひとりいぐも』(20/沖田修一監督)がある。

 

水川あさみ プロフィール

1983年生まれ、大阪府出身。近年の主な出演作は『後妻業の女』(16/鶴橋康夫監督)、『グッドバイ 嘘からはじまる人生喜劇』(20/成島出監督)など。公開待機作に『滑走路』 (20/大庭功睦監督)、『ミッドナイトスワン』(20/内田英治監督)がある。

 

 

ROADSHOW

 

『喜劇 愛妻物語』公開中!

【原作・脚本・監督】

足立 紳

【出演】

濱田 岳 水川あさみ 新津ちせ

大久保佳代子 坂田 聡 宇野祥平

黒田大輔 冨手麻妙 河合優実

夏帆 ふせえり 光石 研

【劇場】

ミッドランドスクエアシネマほか

【配給】

キューテック / バンダイナムコアーツ

©2020『喜劇 愛妻物語』製作委員会

【公式HP】

http://kigeki-aisai.jp/

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