現代詩人・最果タヒの“詩の展示“が名古屋に登場!全身で詩の世界を体験「最果タヒ展」

稲垣朱乃

稲垣朱乃

2021.02.18

 

20~30代の方々を中心に強い支持を得ている現代詩人・最果 タヒ(さいはて タヒ)さん。渋谷パルコ・パルコミュージアムトーキョーにて開催された、最果さんの”詩の展示”が名古屋パルコにやってきました!

 

ということで本日は、名古屋パルコ西館6階パルコギャラリーにて現在開催中の企画展『最果タヒ展 われわれはこの距離を守るべく生まれた、夜のために在る6等星なのです。』をご紹介します。

 

数々の新しい「詩」の運動をまきおこしてきた現代詩人 最果タヒ

最果さんは、2006年「現代詩手帖賞」、2008年第一詩集グッドモーニングで「中原中也賞」、2015年には詩集死んでしまう系のぼくらにで「現代詩花椿賞」と、数々の賞を受賞。

 

また「別冊少年マガジン」で連載詩空が分裂する、連載小説魔法少女WEBを掲載していたほか、2016年第四詩集夜空はいつでも最高密度の青色だが石井裕也監督・脚本により映画化したことが話題に。また、フジテレビオンデマンドにて詩を原作としたショートフィルム番組「さいはてれび」が配信、作詞提供も行うなど、多様な分野から注目を集めています。

 

 

言葉を体感するインスタレーション

この企画展『最果タヒ展 われわれはこの距離を守るべく生まれた、夜のために在る6等星なのです。』は、そんな最果さんの「詩になる直前」の言葉たちを、あらゆる角度から体験できるインスタレーション。

 

2019年2月に約1か月間で30,000人以上が来場した、「氷になる直前の、氷点下の水は、蝶になる直前の、さなぎの中は、詩になる直前の、横浜美術館は。——最果タヒ 詩の展示」でのインスタレーションに新作を含めた新たな展示です。

 

※インスタレーションとは・・・

1970年代以降一般化した、絵画・彫刻・映像・写真などと並ぶ現代美術における表現手法・ジャンルの一つ。室内や屋外などにオブジェや装置を置き、作家の意向に沿って空間を構成。場所や空間全体を作品として体感させる芸術です。(ウィキペディア引用

 

 

デザインを担当するのは、最果さんの書籍の装幀をはじめ様々な企画でタッグを組んできた佐々木俊さん。会場のいたるところに詩が展開され、自由に歩き回りながら詩の世界を体験することができます。

 

 

「作品があなたに読まれ、初めて意味を持つものであってほしいと願う」と語る最果さん。会場内の言葉たちを追いかけながら、自分の心が動く言葉やその瞬間、目が無意識に言葉を読んでいる感覚など、様々な言葉との新たな出会いを体感してみて。

 

様々な場所に言葉が散りばめられています

 

一番大きな「詩になる直前の、名古屋パルコは。」エリア。くるくると回る詩とスポットライトの演出で、見に飛び込んでくる景色の変化が楽しい。

 

展覧会併設ショップにはオリジナルグッズも販売しています。

 

オフィシャルブックやこれまで出版された書籍、詩がいっぱいに描かれたカードやグラス、クリアファイル、ブックマークなど様々なアイテムが展開。

 


 

最果タヒさんメッセージ

言葉は、常に運動をしている。何億人もの人がその言葉を用い、それでいて、それぞれが少しずつ違った意味や印象を、言葉の向こうに見出している。だからこそ言葉は、刻々と変化し、運動を続けている。

わたし一人が、言葉を一方的に、道具として用いることなどできず、常に、言葉が抱える無数の意味や価値の渦に巻き込まれていく。そのコントロールのできなさ、言葉に振り回される瞬間に、わたしは「言葉に書かされている」と感じます。それは時に、わたしよりも深く「わたし」を捉える言葉となる、わたしを飛び越えた、別の何かへと変貌する言葉となる、それこそが、わたしにとっての「書く喜び」です。言葉がわたしの代弁者として、世界へ出ることなどありません。わたしはいつも置き去りにされ、そこが痛快であるのです。

知らない自分に、言葉で会うこと。それは、自分の底さえ突き破り、その向こうの、自分ですらないものへと、繋がることだ。だからこそ言葉は、書かれ、他の誰かに読まれることをじっとじっと待っている。詩の展示。

言葉が、わたしを飛び越える。

それは、「読む」瞬間もきっと同じです。読むことは、与えられた言葉を受動的に読むのではなく、その言葉を自分だけの言葉へと変容させていく行為だと思う。そのとき、言葉の変化は、読むその人の予想を、そしてその人自身を、時に追い越していくだろう。それは「書かれた言葉」のスピードであると、読み手は思うのかもしれない。けれど、あなたも加速している、あなたの言葉が、加速している。そのスピードを、肌で、気配で、空間として、感じられる場所を、私は「詩の展示」と呼んでいます。われわれはこの距離を守るべく生まれた、夜のために在る6等星なのです。あなたしか立つことのできない確かな星から、どうか、言葉を見に来てください。

最果タヒ

 

最果タヒさん プロフィール

1986年生まれ。2006年、現代詩手帖賞受賞。2008年、第一詩集『グッドモーニング』で中原中也賞を受賞。2015年、詩集『死んでしまう系のぼくらに』で現代詩花椿賞を受賞。その他の主な詩集に『空が分裂する』『夜空はいつでも最高密度の青色だ』(同作は2017年石井裕也監督により映画化)。エッセイ集に『きみの言い訳は最高の芸術』『「好き」の因数分解』、小説に『星か獣になる季節』『十代に共感する奴はみんな嘘つき』などがある。Alexandros「ハナウタ」やLittle Glee Monster「夏になって歌え」など作詞提供もおこなう。清川あさみとの共著『千年後の百人一首』では100首の現代語訳をし、翌年、案内エッセイ『百年一首という感情』刊行。2017年にルミネのクリスマスキャンペーン、2018年に太田市美術館・図書館での企画展に参加、2019年に横浜美術館で個展開催、HOTEL SHE, KYOTOでの期間限定のコラボルーム「詩のホテル」オープンなど、幅広い活動が続く。最新刊は、詩集『夜景座生まれ』(新潮社)。

【公式サイト】

http://tahi.jp/

 

佐々木俊さん(展示デザイン)

1985年仙台生まれ、東京在住。2010年多摩美術大学グラフィックデザイン学科卒業。アドブレーン、グリッツデザインを経て、2016年デザイン事務所AYOND(アヨンド)を設立。これまで最果タヒの複数の著書、展示環境のデザインを担当。その他の仕事として、NIKE吉祥寺店の店舗グラフィック、東京国立近代美術館「デザインの(居)場所」宣伝美術、連続テレビ小説『エール』タイトルロゴなどがある。参加展示として、2018年太田市美術館・図書館『ことばをながめる、ことばとあるく―詩と歌のある風景』がある。

 


 

最果タヒ展  われわれはこの距離を守るべく生まれた、夜のために在る6等星なのです。

【期間】

~2021年2月28日(日)

11:00 ~20:00

※最終日は18:00閉場

※営業日時は感染症拡大防止の観点から変更となる場合がございます

【会場】

名古屋パルコ西館 6階 パルコギャラリー

【問い合わせ】

052-264-8370

【料金】

一般800円

ミニ本付チケット1800円

(小学生以下無料)

 

【公式HP】

https://iesot6.com/

【公式Twitter】

@iesot6

【公式Instagram】

@iesot6

 

3月5日(金)〜3月21日(日)までの間は、大阪・心斎橋パルコで開催される。

 

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2021.02.18

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