2020.12.14
写真家 薮田修身による、Mr.Childrenの写真で構成したインスタレーション「THERE WILL BE NO MIRACLES HERE」が2020年12月20日(日)までの期間限定『名古屋パルコ』西館6階パルコギャラリーにて絶賛開催中!
薮田さんが手掛けるインスタレーションとはどんなものなのか?見どころのポイントは?薮田さん本人にインタビューを実施。込められた思いを理解して、この世界観をぜひ堪能してみてください。
また、この展覧会は名古屋会場を皮切りに、東京『渋谷PARCO』・大阪『心斎橋PARCO』と3都市で開催予定。Mr.Childrenが2020年12月2日にリリースしたNew Album「SOUNDTRACKS」とともに是非チェックしてください。
インスタレーションとは・・・
1970年代以降一般化した、絵画・彫刻・映像・写真などと並ぶ現代美術における表現手法・ジャンルの一つ。室内や屋外などにオブジェや装置を置き、作家の意向に沿って空間を構成。場所や空間全体を作品として体感させる芸術です。(ウィキペディア引用)
この展覧会(インスタレーション)は、写真家 薮田修身が2019年7月〜2020年3月までの間、ロンドン・LAで行われたMr.Childrenのレコーディングに同行して撮影をした約1,000枚以上の写真から構成されています。そもそもの開催に至った経緯とは、、?来名いただいた薮田さんにインタビューをさせていただきました!
薮田さん:
今回、ベースの中川くんに“レコーディングでロンドンに行くからおいでよ”と言われて、仕事をがっつり休んで同行することになりました。最初に行っていたセッションで「Documentary film」という曲(アルバム「SOUNDTRACKS」6曲目)があって、その曲の中の「誰の目にも触れないドキュメンタリーフィルムを」という歌詞に惹かれました。彼らが本気で取り組んでいることを、自分の記憶の中だけでなく、誰かに見せないとだめだなと思ったんです。最初から最後までアルバム制作に同行できたというのは僕にとっては奇跡のような時間で、仕事をしないで行く価値がありました。かなり序盤で、何らかの形で世の中に出したいと思っていたので、10月あたりではどんな風に見せようか、という方法を意識しながら撮影に挑んでいました。
タイトルは「THERE WILL BE NO MIRACLES HERE」。直訳すると、“ここにミラクルはないでしょう”。どのような思いから付けられたのでしょうか??
薮田さん:
「Documentary film」に合う風景を探しながらロンドンの街を歩いていたら、「サーチ・ギャラリー」という美術館で「Beyond The Road」という大きなインスタレーションがやっていました。入って最初の通路に“このなかにはミラクルはないでしょう”みたいな訳の言葉がネオンで描かれていて、でも中に進めば進むほど驚きの連続で、とてもいい展示だったんです。入り口と中身で真逆の空間が広がっていて、こんな表現の仕方があるのだと気づかされました。その作品を作ったアーティストにこの言葉の語源を聞いたら、昔奇跡が多く起こると有名な村があったそうで、その奇跡を求めてあまりにも多くの人が訪れてしまうので、王の命令で「奇跡は起きなくなりました(there is no miracles here)」という看板を掲げるようになり、それをアーティストたちは皮肉を込めて使っているそう。この企画展や写真集を見た人が、音楽を聴きながら感動して涙がぽとんと落ちたとしたら、それはもう僕にとってはすごいミラクル。ミラクルは起きないと思うけれど、起きるかもしれない。僕はその後者にかけて、このタイトルを付けました。
そうして出来上がったこの展覧会。会場のBGMはあえて無音。お客さん各々が自身のデバイスで音楽を聴きながら会場の展示を楽しむ、全く新しい写真展のスタイルとなりました。
薮田さん:
今回“インスタレーション”としたのは、従来の写真展のように見に来る人達が受け身となるのではなく、参加してもらいたいという思いがあったから。特にメインの動画の空間では、ただ写真を見るだけでなく、音楽を聴きながら鑑賞することで「あの曲を演奏しているのかな」とたくさんの想像を巡らしてもらいたいと思っています。満員電車でつり革を持った人を見上げながら好きな音楽を聴くより、その好きな音楽を紡ぐ彼らが目の前にいた方がきっとイメージが膨らむじゃないですか。古い見せ方を越えたくて、でもそのためには僕が用意したものだけでは足りない。みんなに音楽を持ってきてもらうことでより世界が広がります。
おすすめは、展示される写真の中でまさに行われていたレコーディング作品、2020年12月2日にリリースしたNew Album「SOUNDTRACKS」を聴きながらの鑑賞。ですが、なんの曲を聞くかはお客さんの自由。各々で選択しながら、気ままに空間を楽しめるのが魅力です。
薮田さん:
この会場で曲が流れていたとすると、ライブや映画と同じようにお客さんは受け身になってしまう。映像はどんどん変わっていくけれど、音楽だけは自分の好きなものを選んでもらうことで、その人により届くものになるのではないかなと思いました。自分の大好きな曲を何度もリピートして聴いてもいいし、様々な曲を聴いたっていい。音楽と写真と自身の感情が組み合わさる空間を楽しんでいただきたいです。
実際に体験した編集部が感じたのは、映し出される一枚一枚の写真が何の楽曲を演奏している場面なのか分かるわけはないのだけれど、耳に流れてくる音楽のまさにその場面を彼らが演奏しているかのような、この音楽が紡がれているレコーディングスタジオに自分も時空を超えて参加しているかのような、錯覚や疑似体験にも似た不思議な感覚を味わうことができました。
会場の構成上できてしまったという細くて暗い通路には、「暗い空間でも楽しめる写真をと思い、モノクロの写真を展示」したと言います。「東京会場ではおそらくできないと思うので、その点でも注目してもらえれば」と薮田さん。
展覧会にはショップも登場!様々な商品が販売されています。なかでも本展覧会で展示されているレコーディング風景の写真が詰まった写真集「THERE WILL BE NO MIRACLES HERE」(6,300円+税)は名古屋会場で先行発売!2021年1月25日(月)からは全国の書店で一般発売されます。
布張りの大判ハードカバーの贅沢な作りは家庭用のフォトアルバムを彷彿とさせ、まるでMr.Children彼ら自身が思い出をしたためたアルバムのようにも感じさせます。
薮田さん:
“アルバム”という言葉って、写真でも音楽でも共通する言葉なんですよね。今回の装丁は昔ながらのフォトアルバムをイメージしたふかふかの布張りに、大きさはアナログレコードをイメージした正方形のサイズを選択するなど、細かいところまで写真と音楽がリンクするようこだわり作りました。今回のアルバム「SOUNDTRACKS」の中にはレコーディング風景の写真が入っていないので、この写真集をその代わりとして見て頂けたら嬉しいです。一つヒントを言うと、写真集の一番初めの写真はアルバム1曲目の「DANCING SHOES」をイメージした写真です。歌詞に登場する“トンネル”をイメージした写真もあったり、アルバムとリンクする写真で構成しているので、アルバムを聴きながら是非一緒に見てもらいたいなと思います。彼らの笑顔は少ないですが、今回はものすごく真剣に音楽づくりに取り組んでいている様子を見ていただきたい。理想としては、この写真集が100年後どこかの古本屋とかに置かれていて、たまたま見つけた人が彼らの音楽を聴きたいと、そう思ってもらえたら最高です。なので絶対に残るものにしたいと思って作りました。
他にもこの展覧会オリジナルのトートバッグやTシャツも販売されています。2020年12月2日にリリースされたNew Album「SOUNDTRACKS」の初回生産限定アナログ盤の販売も!!数量限定でしたので要チェックです。
〈名古屋〉
【期間】
開催中〜2020年12月20日(日)
【会場】
名古屋PARCO 西館6階 PARCO GALLERY
〈東京〉
【期間】
2021年1月15日(金)〜2月1日(月)
【会場】
渋谷PARCO 4階 PARCO MUSEUM TOKYO
〈大阪〉
【期間】
2021年2月11日(木・祝)〜2月28日(日)
【会場】
心斎橋PARCO 14階 PARCO EVENT HALL
薮田修身(OSAMI YABUTA)
埼玉県出身。斉藤一男氏へ師事。W所属。
ファッションフォトグラファーとして、雑誌、カタログ、広告、ムービーなどを中心に活動。2015−16年にかけて国内循環写真展「BLACK BOX -unpainted face of Mr.Children-」を開催。
詳しくはこちら
普段なかなか見ることのできない、Mr.Chilerenの音楽が紡ぎ出される瞬間、その真剣でいて、音楽を愛し真摯に向き合う空気をとても近くに感じられる、新感覚の写真展をぜひ堪能してみてください。
THERE WILL BE NO MIRACLES HERE OSAMI YABUTA
2020.12.14