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「俳優の演技と、お客様の想像力があってこそ成り立つ」劇団四季 田中彰孝がミュージカル『ライオンキング』を語る 

撮影:堀勝志古 ©︎Disney

 

この舞台は俳優の演技と

お客様の想像力があってこそ成り立つ

ー田中彰孝/劇団四季

 

2020 年 3 月よりロングラン上演中のミュージカル『ライオンキング』名古屋公演。アフリカ・サバンナを舞台に「サークル・オブ・ライフ(生命の連環)」という壮大なテーマを綴るこの作品の上演は、名古屋ではなんと 14 年ぶり。「劇団四季人生=『ライオンキング』」だと語る、主人公・シンバ役の田中彰孝さんにその魅力を伺いました。

 

 

「劇団四季に入団して、初舞台を踏んだのが『ライオンキング』のアンサンブルでした。それ以降、この作品とずっと関わってきて、「劇団四季人生=『ライオンキング』」と言っても過言ではないので、思い入れだらけの作品です。シンバを演じてからは 15 年を超えています。いまシンバを演じられることに幸せを感じつつ、いつ最後の出演となっても悔いがないように、という気持ちで毎日心を込めて演じています。」

 

そう語るのは、2 千回以上、シンバ役を演じているという劇団四季の俳優・田中彰孝さん。太陽のような温かい笑顔が、苦難を乗り越え未来を切り開いていくエネルギッシュなシンバにぴったりだ。この役を演じる上で心掛けていることは?

 

「筋トレかな、ていうのは冗談で(笑)。『ライオンキング』はジェットコースターのように物語が展開していきます。立ち止まることなく、先へ先へとストーリーが進んでいく。若いライオンのエネルギーが演出として表れているのかなと思います。あとは、“こだわらない”ことにこだわっています。何度も舞台を踏んでいると無意識でも「ここはこうしたい」という思いが出てきてしまうのですが、何より書かれている台本のそのままをお客様にシンプルに届けたい。そういう感覚に最近やっとなれたなと思います。」

 

小さな舞台上に、動物がのびのびと暮らすサバンナの世界が広がる。そこがいつの間にか象の墓場となり、ジャングルとなる…。目まぐるしく展開していく様はたしかにジェットコースターのよう。でも意外にもセットは簡略化されていて…。田中さんはそこに舞台版『ライオンキング』の魅力があるのだと言います。

 

「たとえば崖はリアルなものではなくまっすぐな線で表現していたり、大草原は頭の上に草をのせた人がみんな揃って動くことで表現している。動物たちだって、よく見れば人間の顔が出ていて、竹馬に乗っているのも分かる。あえてマスクやパペットと俳優の表情両方を見せるという演出だが、それでも観ている方たちは「キリンだ」と誰一人疑わず、サバンナの世界を自然に受け入れている。そこが舞台版のすごさであり魅力だと思いますね。だからこそ俳優たちは、いかにシンプルにこの演出に体を委ね、違和感なくこの世界観を楽しんでもらえるよう、綿密な稽古を積むことが求められる。この舞台は、俳優の演技と、お客様の想像力があってこそ成り立つ作品なんです。」

 

撮影:堀勝志古 ©︎Disney

 

名古屋での上演は 14 年ぶりの 2 度目。この機会はぜったい見逃したくない。

 

「テーマが“生命の連還”という壮大な物語で、親子の愛情や心の成長も描かれる。どの年代のお客様が来られても、それぞれの感想を持てるというのもこの作品の魅力だと思います。あとは、エルトン・ジョン作曲の誰しもが一度は聞いたことがある楽曲や、南アフリカ出身のレボ・M が
書き下ろした楽曲など音楽も素敵ですし、照明や衣裳など色の世界も独特で、楽しめる要素がたくさんあります。ミュージカルを観たことがないという方には、とても観やすい作品だと思います。また、舞台上では愛し合ったり競い合ったり、そんな心の会話が繰り広げられています。人と人との関わり合いが希薄になっている現代だからこそ、ちょ
っとさみしくなった時、心を開きに観に来てもらえたらなと思います。」

 

田中彰孝プロフィール

たなかあきたか/福岡県出身。2003年研究所入所。『ライオンキング』で初舞台を踏み、後にシンバ役に抜擢。のびやかな歌声で観客を魅了している。その他にも、『ジーザス・クライスト=スーパースター』ユダ、ペテロ、『コーラスライン』ポール、『ウェストサイド物語』トニー、『ノートルダムの鐘』カジモド等を演じている。

 

撮影:上原タカシ ©︎Disney

 

ディズニーミュージカル『ライオンキング』

上演中!

アフリカ・サバンナ。動物たちの王国プライドランドを治めるライオンの王ムファサは、息子シンバに「サークル・オブ・ライフ(生命の連環)」の理念を教え、未来の王として育てます。ところが、シンバの伯父スカーが王位を狙い、父ムファサを殺し、その罪をシンバにかぶせ追放してしまいます。果たしてシンバは父親の死を乗り越えて、王になれるのか・・・。

●詳細は劇団四季公式HPにてチェック!