1300年の歴史あるやきもの産業と文化が根付く、陶磁器の一大産地である岐阜県東美濃エリア。
この地域で制作される陶磁器は総称「美濃焼」と呼ばれ、古来からの技術や文化を継承しつつ時代ごとの感性や多様性を融合させた、生活に寄り添うやきものとして親しまれてきました。
そんな美濃焼の生産地のひとつである多治見市で、4月10日・11日に「たじみ陶器まつり」が開催されました。
photo by Nanato Yamada
美濃焼ならではの絶妙なカラーバリエが魅力!キュートな食器も種類豊富にラインナップ。
長い歴史を持つ美濃焼の一大イベント、春の「たじみ陶器まつり」のお楽しみといえば陶磁器の大廉価市。
●お祭りならではの卸値価格で質の高い陶磁器をお得にゲット!
●お気に入りが絶対見つかる!作家物から日用食器まで幅広い品ぞろえ
●美濃焼の魅力を体感、作り手と会話をしながらお買い物
などなど、美濃焼の魅力をグンと身近に感じることができる日本有数の陶器の祭典に、東海エリア内外から多くの観光客が訪れました。
2年ぶりの待望の開催となった美濃焼の一大イベントの見どころ、オススメ作家作品、立ち寄りスポットまでをドーンとレポします!
第74回「たじみ陶器まつり」は関連イベントが集結、エリアが拡大してパワーアップ!
昨年の第73回は新型コロナウイルス感染症予防対策のため開催中止になりましたが、待望の第74回となる今年は、市内各地で行われてきた関連イベントを集結し会場を拡大、今の時代に合わせた新スタイルとなってリニューアル!
メイン会場は本町オリベストリート周辺、その他多治見駅周辺、ながせ商店街、銀座商店街、市之倉も加わり、市内各所を散策しながらやきものショッピングはもちろん、陶磁器以外のクラフト市、ご当地グルメなども大満喫!!
また、各エリアともに広い空き地や駐車場などを利用し、密を回避した会場づくりに。会場において検温、アルコール消毒などの新型コロナウィルス感染症予防対策を実施し、安全な開催となるよう準備されました(1つの会場での検温で検温済みシールを貼り、シールのある方は各会場での検温が不要に)。
街に点在する会場めぐりで密を回避 それぞれ個性あふれるイベントがお出迎え
エリアが拡大されることで、密を避け、街散策をしながら一日お祭りを満喫できた今年の「たじみ陶器まつり」。各会場ではやきものはもちろん、美味しいグルメ、大道芸など様々なイベントも楽しむことができました!
1.メイン会場・本町オリベストリート周辺
本町オリベストリートは、明治から昭和初期にかけて美濃焼の陶磁器問屋が軒を並べ、多治見の商業の中心として栄えた通り。
当時の面影を残す古い蔵や商家が残り、それらを活かした店舗が並びます。散策をしていると、古き良き時代へタイムスリップしたかのような気分に。
本町オリベストリート会場は、さらに以下の5会場の分散開催を実施。
・屋台広場(岐阜信用金庫駐車場)
さらに会場を分散化することで混雑を避け、それぞれの会場でお買い物やグルメをゆっくりと堪能することができました。
2.ながせ商店街のでてりゃあ春のクラフトフェア
駅から徒歩5分の場所にある「ながせ商店街」。昔ながらの酒屋からカフェ・雑貨店まで、新旧が入り混じったミクスチャーな感じが新鮮!たくさんの発見がある、散策がとても楽しい商店街です。
こちらの商店街ではヒラクビル横駐車場を利用して、県内作家によるクラフトフェアを開催。ハンドメイドによる作品が多数展示され、ここでしかゲットできないアイテムとの出会いを満喫!
3.レトロストリート銀座商店街では作家作品が集結
思わず写真を撮りたくなる、古建築フリークにはたまらない昭和の風情が残る銀座商店街。このレトロストリートが多治見にゆかりのある作家作品で彩られました。
出展は約20ブース。いつもよりゆったりと空間が確保されているので、じっくりと作品を見ることも。作り手さんに作品の魅力を聞きながらのお買い物も、やきものの魅力をグッと身近に感じることができて楽しい!!
4.駅周りを巡回!大道芸見本市
多治見駅北口前に広がる通称『虎渓用水広場』は、豊かな緑と美しい水路で構成された多治見市民の憩いの場。様々なイベントが開催され、文化・芸術との出会いの場として、街ににぎわいを生み出しています。
こちらの『虎渓用水広場』をメインに、駅南北自由通路、駅南広場、ながせ商店街、産業文化センターの各会場をつなぐように、選りすぐりの大道芸が披露されました。
厳しい選考を勝ち抜いた国内外で活躍するパフォーマーたちの迫力あるパフォーマンスには、幅広い層が一体となり会場は大盛況!!
5.自然豊かな陶の里・市之倉
多治見駅より東鉄バス「下半田川」行きで約15分。明治時代より盃がさかんに作られるようになった市之倉エリア。現在でも多くの窯元や陶磁器を生産する工場が点在しています。
こちらのエリアでは、「 陶の里 倉之市 」という名前で『市之倉さかづき美術館』、『幸兵衛窯』、『玉山窯』、『うつわの店たかぎ』が市之倉会場となり、窯めぐりが行われました。普段は見ることができない、伝統工芸が生み出される場所の見学は貴重なひととき。
●会場MAPはこちら
多治見ビギナーにおすすめ! おすすめ立ち寄りスポットをご紹介
JR多治見駅からメイン会場の本町織部ストリートまでは、徒歩約10分。
まずはメイン会場の通り道にある駅南口から徒歩5分の「ながせ商店街」へ。
こちらで是非立ち寄りたいのが、地元に愛され続けてきた老舗『時計・宝石メガネのワタナベ』のビルを再生した「ヒラクビル」。ビル横の駐車場がお祭り会場に。
「ヒラクビル」は、2019年『ひらく本屋 東文堂本店』、『本屋のとなり 喫茶わに』、シェアオフィス・レンタルルームが集まった複合ビルとしてOPEN。世代を超えた交流の場・商店街のシンボルビルとして注目を集めています。
ビル内にある『本屋のとなり 喫茶わに』は、ながせ商店街の人気カフェ『うつわとごはん カフェ温土』の姉妹店。季節の野菜がたっぷり入ったスープがメインの軽食セットや自家製スイーツなどが楽しめます。隣の書店『ひらく本屋 東文堂本店』の本の持ち込みがOKなので、読書に耽りながらのカフェタイムを満喫してみては。
●ヒラクビル
【住所】
【電話番号】
0572-23-2636 (運営会社直通)
【営業時間】
9:00-21:00
【定休日】
水曜
本町オリベストリートでのお買い物の合間に立ち寄っていほしいのが、2019年にOPENした、伝統工芸の歴史を未来に伝える多治見の新ランドマーク「新町ビル」。
このビルの中核となるのは、器のセレクトショップ『山の花』。窯元から量産工場まで、このエリアの作家や職人たちが作り出したやきものを一堂に集め、器を求める人と作り手とを繋ぐ場を提供。
それぞれのやきものの魅力・背景にあるストーリーも伝えてくれるから、東美濃のやきもののクオリティの高さと多様性はもちろん、美濃焼の新しい楽しみ方も発見することができるはず。
その他、ビル内にはワークショップやイベントができるフロア、フォトスタジオやデザイン事務所なども併設され、多方面からやきものの魅力を感じることができる場となっています。
「たじみ陶器まつり」当日は、1Fにて自家焙煎珈琲『MIROKU COFFEE』と東美濃のクラフトビール醸造所『Camado Brewery』が出店。どちらも人気店だけあって一時は行列も(もちろん密を回避して)。 秋のお祭りにも出店があることを期待します!!
●新町ビル
【住所】
【営業時間】
12:00~19:00
【定休日】
月曜
たじみ陶器まつりで出会った暮らしを彩る美濃焼
会場ではいくつも揃えたくなりそうな日常食器から、味のある作家作品まで幅広い美濃焼がお出迎え。
・出店リスト
土岐陶器屋、朱山窯、丹山窯、不動窯、和陶苑、ひだまり庵、HOLY-BASE、知山窯、竜仙窯、七彩窯、㈲マルモ加藤陶器、㈱安藤進晤商店、菱和陶苑、丸孝水野孝夫商店、㈱丸東、井澤コーポレーション、㈱小和田カンパニー、マルト水野陶器、㈱明和窯金陶苑、山本陶器㈱、光城陶器㈱、丸山陶器㈱、㈲ヤマ六商会、上村陶磁器㈱、㈱カマイチ商店、前畑㈱、大岳陶器店、マルイ大村陶器㈱、日比野陶器㈱、㈱まる忠、マルマル増田商店、マルキチ吉川商店、マル久 久野陶器、㈲山和 加藤商店、リスの木食器工房、和来夢楽、㈱金正陶器
・出店リスト
日置哲也 from monolith&soilmans note、平野日奈子、田中恵子、河内哲、杉山亜花莉/西田洋子、加藤正樹/ヨバナチャボロヴィッチ、恩田陽子、岡村宜治、北川和喜、石黒剛一郎、桑田智香子、ななはち窯、タナカヒトミ、稲垣直、徳田吉美/藤内紗恵子/村瀬紀子、アトリエ牛舎、北澤耕作、坪井俊憲、Kaneatsu工房、伊藤正司
・出店リスト
奥村靴工房、山本木工所「木らり」、じゅん陶房、多治見工業専攻科、てづくり工房MAHALO、工房ぽつり、Pisica、緑山窯、(株)ジェイエス・アート、カタノマ(10日のみ)、little voice(11日のみ)、がまぐち屋SlowLife、たてよこふきん、PUPPY SICK
・市之倉さかづき美術館会場出店リスト
丸モ高木陶器、豊泉窯、大竹醤油醸造場、村上雄一個展(敷地内ギャラリー)
・別会場出店リスト
幸兵衛窯、玉山窯、うつわの店たかぎ
街をめぐるように分散された各会場や、余裕をもったブース配置の会場づくりなど、三密を回避し感染予防を徹底しながら開催された「第74回 たじみ陶器まつり」。
よりお買い物を快適に楽しくできるよう様々な工夫がこらされた会場に、スタッフさんたちのこのお祭りにかける情熱と美濃焼に対する愛情を感じ取ることができ、安心してお買い物クルーズとともに多治見の街の魅力もたっぷり堪能することができました。
次回「第75回 たじみ陶器まつり」は秋を予定! これまで「茶碗まつり」として開催されてきたお祭りが名を新たにしてヴァージョンアップ。多彩な美濃焼との出会いを楽しみに、秋のお祭りもぜひ訪れてみたいですね!!
【第75回 たじみ陶器まつり】
●開催日
2021年10月9日(土曜) 10日(日曜)予定
●会場
美濃焼卸センター 岐阜県多治見市旭ヶ丘10-6
詳細は公式HPをチェック